FT897にUSBインターフェース(CAT)を内臓しました ― 2015年02月11日 09:20
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FT897をコントロールするのはCATですがTTLのインターフェースしかありません。そこでRS232C変換器を使いますが(CT-62等)パソコン側にRS232Cが無い場合もあります。私が使っているPCには1つありますが使い勝手はUSBにかなわず結局USBシリアル変換器を使うこととなります。
今までFTDI社のデバイスを使ってきましたが私が期待する機能とはちょっと違うところもあり別のデバイスを試しました。
FTDI社の他に簡単に入手可能なのはSILICON LABSのCP210XシリーズかProlific TechnologyのPL230Xシリーズです。この2社の製品はUSB-232C変換ケーブルなどに入っています。本家のFTDI社も影響を受けて開発競争をしています。今回はマルツパーツのMPL2303SAを使用しました。ProlificのPL2303SAを搭載しています。
Rig側はTTLですので5Vのインターフェースです。PL2303SAは3.3V系ですがおそらく5Vトレラントなのでそのままでも良いのですが、出力が0V~3.3VなのでTTLには適合できますが少しでもマージンを稼ぎたいとOpenDrainのバッファを付加し0~5Vに変換します。USBバスパワーは使いません。USBからは信号だけを取り込みます。+5VはRigから取ります。
下のようにできあがりました。プルアップの抵抗はいらなくなったLANカードから取り外したチップ抵抗を使いました。
バッファはDip変換基板に載せ左右を切り取り小さくしました。細かい作業はボケ防止にちょうどいいですね。
下図の上が今回の製作物、中が秋月電子のFT232RLタイプ、下が秋月電子のFT234Xタイプです。

この状態で動作試験をしましたら調子よく動きました。そこでシールドします。


FT897のCATコネクタはIC-AT500に占有されましたのでMicコネクタになりますが既に使っているFT4232Hのインターフェース基板に載せたくなかったので別にします。別にするとRigのRJ45から取り出すケーブルの中に埋め込むか、新たにRJ45を用意して既設インターフェースに渡すかです。結構面倒なのでRig内に内臓させます。これなら回り込みが起きてもCATだけは生きている可能性が高まります。(もっともUSBに乗れば一緒ですが)
FT897を空けてみるとうまいことに隙間だらけです。様々に検討しましたが内臓バッテリーのスイッチを取り外しその代わりにUSBコネクタをつけることとします。外来ノイズ対策を村田製作所のサイト(http://www.murata.co.jp/products/emc/case/household/pdf/k_1.pdf)を参考に作りました。測定はしてないのでおまじないのつもりです。
下の写真は失敗作です。USBの通信ができないくらい減衰しました。

FT897の内部に入れるにあたってMicコネクタから取り出しますが常に生きているとマイクのUP、DOWNが使えません。使わないときは接続を切るリレーを追加しました。USBパワーでリレーを働かします。
最終回路です。
リレーモジュールです。

リレーモジュールを結合しました。

FT897の内臓バッテリーの切替スイッチは日本開閉器のJW-M22RKKです。同形のJW-M11RKKを購入しスイッチ部分を外します。内臓バッテリーの切替スイッチはは大事にとっておきます。

開いた穴にUSBコネクタをつけます。そのために新たに購入したスイッチです。

これを壊します。下図の赤丸部分(左右2面)を2mmのドリルで取り除きます。


スイッチの上蓋をペンチで引き抜きます。するとスイッチ本体が現れます。

このスイッチ本体をドライバなどで下に強く押し外します。すると真ん中に四角い穴が出きます。

その穴はUSB Bタイプコネクタメスがすっぽり入る大きさです。基板につけたUSB Bタイプコネクタメスをこの穴に入れアロンアルファで接着します。

これをRigの上蓋から内側に向かって押し込みます。カチッといってロックが利きます。



次は製作したインターフェースをRigに収めます。写真の右下の黄銅色している四角い箱がインターフェースです。

信号の取り出しはJ1017の前にあるTestPointから取り出します。TestPointは右から1,2,3,4、と千鳥で8まであります。(RJ45のパターンが出来上がっている)8がTxd、7がRxd、6が+5V、2がGNDです。

出来上がりましたので早速接続します。
今回CATをRig内に入れましたが、オーディオもPTT制御、Key回路もRig内に入る隙間は十分あります。
そうするとICOMのUSBインターフェースになってしまいます。
あくまでも回り込み対策が主目的ですからこれで十分です。FT897にはFT897の良さがありますのでそれを十分生かしつつ楽しみたいと思います。
USBでなくLANインターフェースにすることも可能です。XPORTを使えばLAN->シリアルになります。

大きさはJW-M11RKKを壊した穴を外のハウジングの残して大きくすれば丁度入る大きさです。外付け部品としては5Vから3.3Vを作成することとレベルコンバーター(今回のバッファ)だけです。ソフト的にはパソコン側に仮想COMのソフト(無料)をインストールすればOKです。
今回は他のインターフェース(オーディオ、PTT、KEY、アンテナ切替)と同じにしました。それらをUSB-HUBでつなぎUSBデバイスサーバーでLANに変換しています。
くれぐれも改造は自己責任でお願いします。また静電気対策もしっかりやりましょう。